ワークブック
あなたの健康管理と職業生活の両立に向けたチェック
あなたは現在、治療が第一で働くことまで気が回らない状況かもしれません。また、治療、生活、働くこと、様々な問題がからまり、どこから手をつけたらよいかと悩んでいるかもしれません。あるいは、特に支援など必要ないと考えているかもしれません。
難病のある人の生活を調査した結果、治療・体調管理と職業生活を両立する上で、多くの人が何らかの問題や困りごとを抱えていることが分かりました。
まずは以下の1〜5のチェック項目で、就職準備、就職活動、職場復帰、仕事の継続の一連の流れ全体における問題や困りごとを整理してみましょう。
今の自分の状況に当てはまる場合は、□にチェックし、あなたの取り組むこと(課題)を確認してから、次のワークを進めていきましょう。各ワークに必要なガイドや資料もぜひ参考にしてください。
チェック1
これから就職を希望している
取り組むこと
あなたの生活や人生の全体的目標を考える
- 健康管理と職業生活を両立するためには、何が必要かを支援者と一緒に考えます。
- 制度を使って無理をしない働き方を考えます。
- 仕事を通じた社会貢献や自分にとって仕事とは何かを考えます。
- 自分のアピールにつながる強みを見つけます。
治療方針や通院について主治医に相談できない
取り組むこと
健康管理と職業生活の不安を解消する
- 通院や服薬、検査のタイミング、治療方針について医師に相談できるようにします。
上記のチェックに当てはまる項目があれば、ワーク1へ進みましょう。
チェック2
無理をしてでも収入を得るために仕事をしたい (している)
働きたいが、仕事は無理だとあきらめている
失業により経済的に困っている
生活 (経済)について今は問題ないが就職がなかなかうまくいかない
取り組むこと
働きたい理由と得たい収入から希望する雇用形態を考える
- 働きたい理由と収入、制度 (傷病手当金、失業保険、障害年金など)の利用などの状況から、希望する雇用形態を考えます。
病気や障害による仕事への影響を考えて仕事を選択するために、制度を利用して収入を補う
- 職業訓練給付金、障害年金、生活保護等の制度を利用し、治療・生活・働くことについて見直すことができます。
- 傷病手当金については、職場の労務・人事担当者に確認します。
- 障害年金については、年金事務所または労務・人事担当者に確認します。
上記のチェックに当てはまる項目があれば、ワーク2へ進みましょう。
チェック3
休職中で職場復帰を目指している
病気により、これまでの仕事を続けることができない
取り組むこと
仕事をするために必要な職場の配慮と対応を考える
- 慣れている仕事や職場であっても、少しずつ仕事量や身体への負担を増やすなど、無理をしないで働くことができる復職プログラムについて、人事課担当や上司と相談します。
- 復職前に、関係者間で健康管理や配慮してほしいこと等を話し合う場を設けてもらいます。
- これまでの経験やスキルを使い仕事を続けるために、まずは今の職場内での業務調整ができないか、労務・人事課担当や上司に相談します。
- 配置転換による負担軽減が可能かどうか、労務 ・人事課担当や上司に相談します。
- 職場内での調整が不可能な場合には、転職を考えます。
- 人工透析、人工肛門、肢体不自由、内部障害等があっても職業人として活躍するための支援を受ける方法を考えます。
病気が悪化し就職と退職を繰り返している
取り組むこと
働くために必要な職場の理解や個別調整・ 配慮について考える
- 自分の病気の特性 (症状の変化や進行、再燃等)について、主治医に確認して正しく理解します。
- 適切な健康管理について、主治医や看護職 (看護師や保健師)等に確認して実行できるようにします。
- 職場の理解が得られないため無理をして働き、体調が悪化している状況があれば、職場へ必要な配慮が得られるように伝える方法を支援者と一緒に考えます。
職場の理解や配慮がない(不十分である)ため、体調悪化が心配である
職場に病気の説明をすべきか迷っている
取り組むこと
職場で「お互い様」の人間関係をつくるスキルを身につける
- あなたの病気や健康管理のための配慮について、同僚が「お互い様」としてとらえ、理解を得られるようにするためのスキルを身につけます。
- 健康管理 (通院や内服、食事療法、休憩等)をしっかりと行うために職場の理解や協力を得る方法を考えます。
職場に気兼ねして、健康管理ができない
病気を隠して働くことにストレスを感じている
取り組むこと
健康管理をしながら、無理なく安全に働くために必要なことを考える
- 雇用主や職場の人たちの心配や疑問への答え方と職場での理解や配慮について考えます。
- 職場の人たちの先入観や偏見、特別扱い、差別などについては、上司、産業保健スタッフ (産業医、産業看護職等)、ハローワーク、難病相談支援センターに相談し、病気の説明を含めた対応について話し合います。
病気を理由に不採用になったことや、退職を勧められたことがある
取り組むこと
職業人として「あなたが期待されている」ことと「あなたがとるべき対応」について考える
- 職業人としてのあなたへの期待にこたえるために、あなたがとるべき行動対応を考えます。
- 病気や障害が仕事へ及ぼす影響を軽減して仕事をやり遂げるためのアイデアについて考えます。
- 同僚から「お互い様」の配慮が得られるように、日頃からコミュニケーションをとることも大切です。
病気について開示したくない。(職場の理解や支援は必要ないと考えている)
取り組むこと
特に支援は活用しないで、自分で就職活動をする
- 今は症状が落ち着いていても、体調が安定するように健康管理をしながら働きます。
- 仕事内容や働き方に無理がないように修正します。
- 将来、体調が悪化する可能性を考えて準備します。
- 就職前の場合は、健康管理に気をつけ、病気が悪化しない働き方を考えます。
上記のチェックに当てはまる項目があれば、ワーク3へ進みましょう。
チェック4
就職試験や面接で不採用が続いている
障害者手帳の対象にならないため必要な支援を受けられない
取り組むこと
自分に合った就職活動の方法を考える
- 書類選考や面接における病気や必要な配慮の伝え方を主治医に確認したり、支援者と一緒に考えたりして見直します。
- 自分の強みを、より効果的に伝えることができるようにします。
- 履歴書 ・職務経歴書の作成や就職面接における説明の準備をします。
- 障害者手帳がなくても利用できる制度やサービスを活用することを支援者と一緒に考えます。
- ハローワークでは障害者手帳がなくても、障害者雇用の窓口で相談できます。
- 各都道府県のハローワーク内に配置されている難病患者就職サポーターや難病相談支援センターの就労支援員が相談を受けています。
上記のチェックに当てはまる項目があれば、ワーク4へ進みましょう。
チェック5
仕事を続けると体調を悪化させる不安がある
取り組むこと
職場との協力で健康管理しながら働き続ける
- 病気のことを職場へ上手に伝え、協力を得ることができる方法を考えます。
- 雇用主の「難病患者の就労」への理解不足、健康安全配慮上の責任問題、配慮する職場の負担への心配を軽減するための方法を相談します。
- 労働者としての権利を守るために専門の相談窓口へ相談します。
上記のチェックに当てはまる項目があれば、ワーク5へ進みましょう。